ストーリーの大まかな流れと、行動原理や背景のわかりづらい点の解説
#408 交渉(2)
・モレナの目的、能力がはっきりと明かされる
・モレナ、ボークセンともに特質系
・交渉ゲーム終盤、死か生の最終決定のタイミングで特殊戒厳令が発動された
エイ=イ組アジト
エイ=イの組長モレナとツェードリニヒ私設兵王子が独自の人脈で集めた兵隊。 第一王子...のボークセンが交渉ゲームをしている。
モレナの要求「エイ=イの仲間になって」に対してのボークセンの回答がこのゲームで決まる。Yesカードが残ればボークセンはエイ=イに入り、Xカードならすべてなかったことにし離脱できる。
交渉ゲームが始まった。
まず親の「目的カード」を指定するボークセン。
モレナが気軽に会話してきたことで雑談OKの言質を取ったボークセンは、周りのエイ=イメンバーに話しかけ総人数を聞き出そうとしている。
モレナは、それを良い試みだと評価しつつも、答えることは無いだろうと言う。
しかしボークセンは相手の表情や態度から真意を読み、エイ=イの人数を25程度と見積もった。
モレナはボークセンが選んだ「目的」カードに従って自分の目的を話し出す。
まず、カキンを滅亡させること
つぎに、人類を滅亡させること。
そのためにボークセンの力が必要で、拉致してきたと言う。
しかし当然ながら突拍子もなさすぎてボークセンには理解できない。
モレナはボークセンが理解しやすくするため、自分の生い立ちを話し始める・・・
本物のモレナは死んでおり、自分は本物ではない。
自分はカキン王国が数年に一度行う祭り「謝肉祭カキン王国のイベント。 適当に選んだ村の...」で親を亡くした「祭孤児祭孤児(まつりこじ) カキン王国のイベン...」である。
謝肉祭カキン王国のイベント。 適当に選んだ村の...の舞台としてランダムで選ばれた不幸な村は、奉仕者と肉に分けられる。モレナは肉だった。
モレナの母は奉仕者役で、休むことも寝ることもできず奉仕させられモレナが2歳の時に亡くなった。
「祭孤児祭孤児(まつりこじ) カキン王国のイベン...」となったものは生後すぐに顔を切り付けられ、施設に送られる。
その施設とはエイ=イが管理する人身売買組織のアジトだった。
そこで二線者カキン王の非嫡出子。 出生時に二枚刃で顔...と肉にあらためて分類され、モレナはそこでも肉になる。肉として20年間様々な苦難を乗り越えながら自身の中にある念の才能に気が付き、磨いていくことでいまエイ=イの組長になっている。
そしてその「能力」はカキンの滅亡を企てるきっかけにまで成長した。
謝肉祭カキン王国のイベント。 適当に選んだ村の...は不定期に行われるが、カキン歴の下2桁に基づいて分類されていて、モレナは98年度のクラスにいる。
モレナが組長になるまでの20年間で7組の新しい祭孤児祭孤児(まつりこじ) カキン王国のイベン...が施設におくられた。最も新しいのは昨年の20年度生。
つまり、前回の謝肉祭カキン王国のイベント。 適当に選んだ村の...は民主記念大祭典の翌年だったことになる。
そのことからわかるように、民主化といいつつカキン王国は全く変わっていないし、これからも変わらないだろうとモレナはいう。
それらがカキンを滅ぼさねばならないとモレナに意識させた一連の出来事だった。
その目的を遂行するには仲間が必要。特に重要なのがボークセンで、それゆえ引き入れたいというのがモレナの目的。
ボークセンの疑問「なぜ私なのか?」には答えないモレナ。
ボークセンが選択した「子のカード」はジョーカーだった。
ジョーカーはそのまま墓場に送られた。
2枚目にボークセンが選んだのはパワーのカード。
2連続で自分に興味を持たれたことを喜ぶモレナ。
一般的な念知識しかないボークセンに、念能力とは、ということから説明していく。
念能力は誰でも修練次第で手に入れることができるということ、
他者の習得を手助けできる能力があるということ、
その能力をモレナが持っているということ。
モレナは自分の能力について説明を続ける。
目的を同じくする人々に力を与え、その輪を広げていくことができる。
子を22人まで持つことができ、子は一定条件で親に昇格してさらに子を持つことができる一種のねずみ講のようなものだと。
モレナは一人ひとりの目標を聞き、特性を考慮しながら能力覚醒を手伝っている。
ボークセンは回想する。
物心ついたときには陸軍士官学校にいて、成績もよく、つつましく平凡な人生が送れればそれでよいと思っていた。
だからこそ、モレナの目的はボークセンにとって非常に憂慮すべき事態である。
ビヨンドの新大陸宣言でボークセンの望む平凡な人生に暗雲が立ち込め、モレナの人類絶滅宣言でさらに悪化した。
モレナが集めた仲間に共通する大きな目的は「人を殺すこと」。
ボークセンはモレナの目的と能力が分かったことを内心ありがたく思う。
彼女はその情報を使って混乱を収めるために何でもやろうと決意した。
モレナは念の説明を続ける。
念には6種の系統があること、その中でも特質系はレアであること、
そしてボークセンが特質系であること。
モレナの仲間のドッグマン(名前はボークセンに明かしていないが)は強化系で、彼は覚醒していない念能力者の系統までをも判別できるようなレベルになっているらしい。
モレナはボークセンのような未開発の特質系の念能力者候補を船内でさがしている。
特質系の割合はおよそ3000人に1人程度だとモレナは考えており、この船内で50-60人はいる可能性があるとのこと。その中でより大きな目標(人を殺すこと)を共有している人を見つけられれば理想的だ、とも。
ドッグマンがすでに何人かの特質系能力者に遭遇していて、特に興奮したのが天空闘技場格闘技の大会が行われる建物。その大会は1...のフロアマスター、クロロ。
交渉が長引けばボークセンにとって不利になるといったのは、ボークセンの価値が相対的に下がっていくことを意味していた。
もし仲間になれば自分はどんな能力を得られるのか尋ねるボークセン。
モレナは「YES?」「NO?」に関連した質問だといいつつ少し答えてくれる。
特質系の特殊さ、気づかず他の能力を収め宝の持ち腐れになってしまう危うさ、ただし知識とサポートがあればより強力な能力を収められる可能性についても。
モレナ自身も特質系で、ボークセンの能力についてモレナ自身の希望もあるが、他のカードとの絡みでこれ以上は答えられないという。「YES?」カードを選べばモレナが習得を希望する能力を明らかにしてくれるらしい。
ボークセンは親の「NO?」カードを指定。
NO?カードが残っていたらどうなるかについてのモレナが説明する。
まずXカードについての説明が先になされる。
Xカードが残っていたら、当初の説明通りモレナはボークセンに対して何もしない。なるべく避けるように行動し、殺すのは最後になる(モレナたちの大きな目的が人類すべて殺すことだから)。
これは一見モレナ側のリスクが大きすぎるようだが、そのリスク自体が制約と誓約になっており、より強大な能力の下地であることをボークセンは理解した。
そしてNO?カードの説明。
これをが最後に残ると、交渉相手のボークセンは死ぬ。
モレナ側にとっても痛手のため、これもリスクを負うことになりさらにモレナの力になる。
そのことを聞いてもボークセンが冷静でいるように見えることにモレナは賛辞を贈る。
子の残りカードはNOとR。Noが残ると死、Rなら生存できる。
考えるボークセン。
BW号内に非常ベルが鳴り響き、ベンジャミンによる特殊戒厳令が発動したことが知らされる
関連するページはこちら
409話に続く